胆嚢の病気で一番有名なものは胆石症ですが、胆嚢には他の病気もあります。
よく検診で指摘される事が多いのが胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋症です。基本的には経過観察でいい場合が多いですが、手術を勧められる場合もあります。それは胆嚢がんの可能性がある時です。胆嚢は胃や大腸のように簡単にカメラで観察することはできません。超音波検査で胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋症だと思っていても胆嚢がんが隠れている場合もあります。すぐ手術はしなくても、専門医の先生にフォローしてもらうのが一番安心です。
胆嚢ポリープ
胆嚢ポリープは胆嚢内の隆起性病変であり、ほとんどは良性ですので、心配することはありません。胆嚢ポリープの約90％はコレステロールポリープであり、癌化することはありません。多くは検診で発見され、2-3mmと小さく、症状を及ぼすものはありません。10mm超えることは少なく、多発しやすいという特徴があります。コレステロールポリープの原因は脂質の多い食生活です。その他、腺腫、過形成ポリープ、炎症性ポリープなどがあります。胆嚢ポリープは自覚症状は少なく、基本的には超音波検査やCTで偶然発見されることが多いです。
大きさが10mm以上、茎がない、あるいは幅広い（広基性）、増大傾向を示す隆起性病変の場合には、胆嚢がんである可能性を否定できないため、手術を勧めます。
胆嚢ポリープで手術を受ける必要はありますか？
外科医が手術を勧める適応：
- 大きさが10mm以上のポリープである
- 徐々にポリープが増大傾向である
- 大きさに関わらずポリープの茎が幅広い（広基性ポリープ）
胆嚢腺筋腫症
胆嚢腺筋腫症は胆嚢の壁が部分的あるいは全体に分厚くなる病気です。良性疾患であるため、基本的には経過観察で問題ありません。基本的に症状はなく、胆嚢ポリープと同様に健診の超音波検査やCTで偶然発見されることが多いです。肥厚する壁の部位によって3つの型（底部限局型、分節型、びまん型）に分類されます。胆嚢腺筋症で手術を勧めさせていただく一番の理由は高齢の方で胆嚢がんとの鑑別が難しいときです。前途の様に胆嚢は胃や大腸のようにカメラでの組織検査が簡単にできないため、胆嚢がんの可能性が少しでもあればお勧めはします。手術も30分強で終わることが多いので悩む時間の方が多ければとお話ししています。また、結石を合併していたり、胆嚢炎を併発して腹痛を伴う場合も手術をお勧めしています。
胆嚢腺筋腫症と診断されました。癌化することはありますか？
胆嚢腺筋腫症と胆嚢がんは基本的に関連がないと言われていますが、判断しにくい場合もあります。胆嚢腺筋症が放置することで癌化することはないです。専門医による診察をお勧めします。
※手術については胆石症のページをご参照ください。
