胃粘膜アブレーション
(GMA:Gastric Mucosal Ablation)
胃カメラで食欲の抑制、胃の縮小を行う低侵襲の減量治療です。
GMAとは?
どのような効果がある?
胃粘膜アブレーション(GMA)は、アメリカで開発された画期的な新しい手術です。
この処置は、お腹を切ることなく胃カメラのみで完結します。内視鏡で、胃の内側を高周波電流を使用してアブレーションを行います。アブレーションにより胃組織に変化が生じ、食欲ホルモンであるグレリンの分泌が抑制(約50%減少)されます。
胃底部(胃の上部)は体内のグレリンの80~90%を産生します。グレリンは非常に強力な食欲ホルモンで、食事の前に空腹感を感じさせ、ダイエット中はさらに食欲を増強させます。グレリンは生きるために作られていますが、私たちがダイエットする努力に拮抗します。
GMA はグレリン産生細胞を凝固壊死させ、食欲を刺激するこのホルモンの放出を抑制します。その結果、空腹感・食欲が減り、食べ過ぎを抑える効果が高まります。
さらに、胃粘膜がアブレーションされることで、胃が治癒する過程で胃のリモデリングが起こり、胃が小さくなります。(胃容量の約42%の減少)
海外のデータでは術後6 か月以内に体重の約12%、最大 17%の体重減少が報告されています。
胃粘膜アブレーションがおすすめの方
- ダイエットすると食欲が増し、すぐリバウンドしてしまう方
- ダイエット際に食事コントロールが難しい方
- 手術が怖いが減量したい方
副作用
一般的な胃カメラの処置ですので、重篤な胃の損傷もありません。ただ、ほとんどの医療処置と同様に、副作用はごく稀にあります。出血、吐き気、疼痛、発熱、鎮静剤による嘔吐などの副作用があります。ごく稀に、胃穿孔を引き起こす可能性があります。
参考文献
- American Journal of Gastroenterology 113():p S1365-S1366, October 2018.
- Gastroenterology. 2024Aug21:S0016-5085(24)05349-6. doi: 0.1053/j.gastro.2024.08.008.
内視鏡的スリーブ状胃形成術+胃粘膜アブレーション
①ESG-MAX
②Mini ESG
(Endscopic Sleeve Gastroplasty with Mucosal Ablation)
①ESG-MAXとは?
ESG-MAX は、ESG (内視鏡的スリーブ状胃形成術)と GMA (胃粘膜アブレーション)という 2 つの高度な内視鏡治療を統合した革新的な減量治療です。
この2つを組み合わせたアプローチにより、スリーブのような小さな胃(約100ml)になり、さらに食欲ホルモンであるグレリンが減少することで、食欲が減り、より高い体重減少効果が得られます。
ESG-MAXの仕組み
ESG-MAXの利点
- 空腹感の軽減: ESG-MAX は胃底部のグレリン産生細胞を標的にしてアブレーションすることで、空腹感を大幅に軽減します。
- 満腹感の向上: ESG と GMA の組み合わせにより、胃のサイズが小さくなり、胃底部が再構築され、少量の食事でも満腹感が得られます。
- 減量の促進: 胃の容量の減少と空腹感の減少という二重の作用によってより速く、より高い減量効果が得られます。
- 低侵襲の日帰り治療: ESG-MAXは、全身麻酔下で日帰りに行われる内視鏡治療であり、従来の減量手術よりも安全で侵襲性の低い手術です。
- 薬が不要: 高価で長期にわたる薬を必要とせずに、食事コントロール力を高めます。
②Mini ESGとは?
Mini ESGは、ESG(内視鏡的スリーブ状胃形成術) と GMA(胃粘膜アブレーション) という 2 つの高度な内視鏡治療を統合した革新的な減量治療であることはESG-MAXと同様です。通常のESG-MAXは4-6針で胃を縫合し、その後 胃の粘膜のアブレーションを行います。Mini ESGは縫合する箇所を少なくし、その分胃の粘膜のアブレーションの部分を広くします。値段を抑えるために当院で行う独自の方法です。
この2つを組み合わせたアプローチにより、胃の容量を減少し、さらに食欲ホルモンであるグレリンが減少することで、食欲が減り、単独の治療よりも高い体重減少効果が得られます。